愛媛大学国際連携推進機構
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清重 綾乃  2012台湾留学(高雄大学) (2013年06月4日)

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赤い星印が台湾の首都台北市、そして黄色い星印が高雄市です。 ※http://www.freemap.jp/から引用

1.留学に至ったいきさつ 
 私は高校生の時から中国語を学ぶために留学したいと思っていました。場所は中国語を学ぶのであれば中国かな、と漠然と考えていました。大学一回生からいろいろと留学情報を調べていましたが、なかなかいいプランにめぐり合えず悩んでいるとき、たまたま国際連携推進機構の方から台湾の交換留学プログラムがあるということをお聞きし、いろいろなことから中国と台湾どちらにするか迷いましたが、行ったことがなく、親日家が多いと聞いていた台湾が一体どんな場所なのだろうと興味がわき、台湾に留学することに決めました。

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2.中国と台湾で使われている文字の違い 
 中国も台湾も話されている言語は中国語ですが、実は少し違う部分があります。まず大きな違いはその表記方法です。中国では簡体字と言う文字が使われています。名前のとおり、画数の少ない、簡単な漢字です。一方台湾で使われている文字は繁体字という文字で、とにかく画数の多い漢字です。私は留学する前は簡体字で中国語を学んでいたため、新たに繁体字を学ぶことに大きな抵抗を感じていました。しかし実際にこちらに来て学んでみると、日本で使われている漢字と同じものも多く、慣れると全く支障はありませんでした。
 二つ目に違うのは発音の表示の仕方です。中国や日本で学ぶ中国語の発音表記はピンインというアルファベットを使った、外国人にもある程度理解のしやすい表記方法です。一方台湾では注音(日本で言う50音のようなもの)というものが使われています。台湾人は皆これを知っており、台湾人に発音を聞くとたいてい注音を書いて説明してくれます。逆に言うと、ピンインが分かる台湾人はあまりいません。高雄大学での中国語の授業はピンインで行われますが、正しい発音を学ぶには注音のほうが断然分かりやすいという意見が多いので、台湾で学ぶ際は注音・ピンインの両方が理解できているとよりよい学習ができるかもしれません。

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3.台湾 高雄市、そして高雄大学へ  
 皆さんは高雄市という場所を聞いたことがありますか?台湾というと多くの人が台北市を思い浮かべるかもしれません。実のところ、私も留学することになってはじめて知りました。高雄市は台北市に次ぐ台湾第二の大都市で、台湾南部の中心地でもあります。とても温暖な気候で、12月でも冬というよりは秋にだんだん近づいてきたな・・といった感じです。生活の中では、気温差が大きいところが少し大変でしたが、寒いのが苦手な私にとってはとても過ごしやすい環境でした。高雄大学はその高雄市のなかでも少し田舎のほうにあります。バスとMRT(高雄捷運という高雄の地下鉄)を乗り継ぐと街中にいけますが、少し時間がかかります。自転車で移動すれば、周りには大型スーパーや電気屋さん、そして数多くのレストラン・食堂があるので、それほど不便ということもありません。 高雄大学は2000年に開校した、台湾でも比較的新しい大学です。その面積はとても大きく、なんと愛媛大学の城北キャンパスの約8倍あるそうです。学部は人文学部、理学部、工学部、法学部、管理学部(経済学部)、生命科学部などがあります。私はその中の人文学部、東アジア言語学科に在籍しています。この東アジア言語学科には日本語学科もあり、多くの学生が日本語を学んでいます。

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4.台湾の印象 
 台湾は聞いていたとおり日本のことをとても大事にしてくれる人々が多くいました。街中は本当に外国なのかと言うほど日本のものであふれており、たいていの日本のものはこちらでもそろえることが出来ます。 
 台湾に着いたとき、こちらで私たち日本人留学生の生活面でのサポートをしてくれるチューター学生がいるのですが、私の担当をしてくれている女の子と話をしている中で彼女は3.11の大地震のときの話をしてくれました。高雄大学の日本語学科の学生たちは3.11のとき、毎日大学内で募金活動をしてくれていたそうです。彼女はその話をしながら涙を流し、日本のことをとても心配していたといってくれました。そのとき私は日本から離れたこの異国の地で、日本を想って涙を流してくれる人がいるということになんだかとても胸が熱くなったことを今でも忘れられません。

5.台湾での学習について 
 私は人文学部、東アジア言語学科に在籍しているので、こちらではこの学科の授業を中心に現地の学生と一緒に受けています。具体的な授業例でいうと、日本社会文化、日本語通訳、韓国語などです。これらの授業はすべて中国語で行われます。日本社会文化はその名の通り日本社会・日本文化についての授業です。この中で私たち日本人留学生はそれぞれの出身県に関する発表を中国語で行いました。 
 日本語通訳は日本語を聞き、その場ですぐに中国語に翻訳して発表するというトレーニングや、班ごとに日本のニュースやバラエティ番組などの内容を中国語に直し、同時通訳するという発表を行いました。この班活動では台湾人の学生二人と一緒に班を組み、中国語に直す部分に関しては台湾人学生が担当し、彼らが理解できないニュアンスの日本語について私が説明をしました。普段当たり前に使っている日本語ですが、実際に説明をすると、とても難しいものだなと感じました。自分の学科以外の授業も受けることができるので、このほかにも共通教育や西洋語学科の英語の授業を3つ受講しました。これらを受けてみて自分の学科以外の授業をとることで、出会える台湾人やそのほかの留学生の幅もぐんと広がりました。 
 また、今年は日本人留学生の数が多く、授業で一緒になることが多かったので、あえて日本人学生のいない授業をとりました。はじめは少し不安でしたが、どの先生も歓迎し、自己紹介の時間を特別にとってくれました。自分から周りの学生たちにわからないことなどを聞いていく中でだんだんと友達もできていきました。中には独学で日本語を学んでいるという学生も多くおり、毎週日本語の質問をしてくれました。留学生はやはり同じ国同士の人間で集まるということがどうしても多くなってしまいます。その中で、日本人留学生が(できれば留学生自体が)自分だけという授業をとるということはとても重要だと感じました。日本人留学生だけで固まって話していては台湾人学生も話しかけにくいところがあるようです。また、自分だけでその場その場での対応をしなくてはいけないので、中国語の勉強にもなったと感じています。

6.サークル活動について 
 台湾に来て一ヶ月が過ぎたころ、サークルに参加することにしました。サークル名は竹風弦語国楽社団(中国語で社団はサークル・クラブの意味を表します。)です。これは台湾の伝統楽器を使って演奏をする団体で、私は数多くある楽器の中のひとつ、二胡という楽器を弾いています。二胡は二本の弦を、馬の尾の毛でできた弓で弾く楽器です。もちろんメンバーはすべて台湾人の学生なので、中国語の勉強にもなり、かつ二胡の練習ができるということで、思い切って参加することにしました。始めは少し緊張しましたが、部員の皆はとても親切で、楽器のことだけでなく、台湾の文化についても積極的に教えてくれます。私の分からない中国語があればすぐにノートに書いて教えてくれます。「日本ではこれはどうなのか。」とよく聞かれ、日本のことについても関心を持ってくれているようです。メンバーに恵まれたということもありますが、このような文化交流ができることもサークル活動に参加するとても大きなメリットのひとつだと思いました。

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 学期末には4日間、朝から夜まで大学で楽器の練習をするという冬休み合宿がありました。ずっと課題曲を弾き続けるのには、なかなか体力がいりましたが、練習の合間にはメンバーでご飯を食べにいったり、アイスブレーキングをしたりして交流を深めることができました。そしてこの合宿後にメンバーと一緒に台東というところへ旅行に行きました。台東は台湾の東側に位置する温泉の有名な場所です。高雄から台東までは汽車でおよそ3時間かかります。汽車の大きな窓からは外の風景が楽しめました。窓からは海も見えたのですが、台東に近づいたとき友人が「アヤノ、この海はさっきみた海とは別の海なんだよ。」と教えてくれました。高雄を出て少し経ったときに見た海は南シナ海、そしてこのとき見ていた海は太平洋でした。二つの海は違う色をしていて、台湾に来なければ出会わなかったメンバーの皆と一緒に、この風景を見ているということに、言葉にはできないとても幸せな気持ちになりました。夜は台東の温泉を楽しみました。台湾では水着を着て男女ともに同じ温泉に入ります。日本の裸で入るという文化に対してはとても驚いていました。台湾にも日本と同じく足湯があり驚きました。一泊二日という短い時間でしたが、とても忘れられない旅となりました。今後も引き続き二胡を通して、この文化交流を深めたいです。

7.日本語の授業 
 台湾での生活を始めて3ヶ月が経った頃、日本語学科の学生に日本語を教えるという機会を頂きました。私は4年生中心のクラスを担当しました。毎週2時間半程度の授業内容を考えなくてはいけないので少し大変ですが、もともと日本語教育に興味があった私にとって貴重な経験になっています。具体的な授業内容は、日本語の新聞記事や漫画を読んでディベートをしたり、語彙を増やしたりしていくというものです。前期での授業は手探り状態で行ったため、改善すべき点が多く残っており、これらを見直し、後期はよりよいものにしていきたいです。 
 この日本語の授業に限らず、日本語を学びたい学生は多くいるので、日本人が日本語を教え、台湾人に中国語を教えてもらうといった相互学習・言語交換なども盛んに行われています。これは私たち日本人留学生にとって、日本語学習者の多い台湾に留学したことの大きなメリットのひとつだと感じました。

8.愛媛県と台湾の交流事業 
 台北には松山空港という名前の空港があります。また、台湾にも多くの温泉があり、現地の人々に親しまれています。そして、台湾には大手自転車メーカーのGIANTがありますが、愛媛県にはすばらしいサイクリングロードである、しまなみ海道があります。多くの共通点があり、また、地理的にも近いことなどから愛媛県知事が台湾を訪問したり、台北のデパートで愛媛産みかんを販売したり、愛媛県は台湾との交流事業をとても積極的に進めています。そして2011年には台北市の北投温泉と道後温泉は友好協定を結び、姉妹温泉となりました。また、2012年にはGIANT社長が愛媛県を訪問し、しまなみ海道で愛媛県知事の中村時広氏とサイクリングをしました。まだ実現はしていませんが、台湾と愛媛県との直行便就航への準備も進めています。これにより、愛媛県と台湾との交流はより盛んなものになるだろうと、とても期待しています。

9、留学を半年終えて 
 1年間の留学の内、半年が終わってしまいました。あっという間でしたが、一日一日がとても充実していました。台湾に来て、国家間の問題を超えた、人間同士のつながりがどれだけ大切かを、ひしひしと感じました。ちょうど私が台湾に行った頃、尖閣諸島の問題が起きました。何か影響があるのではないかと少し心配しましたが、意外にも何も起こらず驚きました。高雄大学には多くの中国人留学生がいますが、中には、将来日本に留学しようと日本語を一生懸命勉強している学生もいます。日本のテレビの報道からでは一面的にしか見えませんが、自分自身の目で見なければわからないこともあります。これらも留学の意義のひとつなのではないかと思います。そして、台湾で日本がとても愛されているということを、留学して初めて知りました。台湾の多くの人々は日本に関心を持ってくれています。東日本大震災の時も、まるで自分の国かのように、日本に大きな援助をしてくれました。また、台湾人だけでなく、周りの外国人留学生にも日本に興味を持ってくれている人は多くいます。残りの半年間は、日本のことをもっと知ってもらえるよう、日本のことを伝えていければと思います。そして私自身も、より深く台湾のことを知りたいと思っています。今後は学生だけでなく、地域の方々とも交流したいです。

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