愛媛大学国際連携推進機構
   English    Japanese 


HOME > 留学生就職促進プログラム > 平成29年度文部科学省「留学生就職促進プログラム」採択事業


平成29年度文部科学省「留学生就職促進プログラム」採択事業

~平成29年度文部科学省「留学生就職促進プログラム」採択事業~

1.はじめに 文部科学省の留学生支援と愛媛大学の国際戦略

平成28年、日本国内の高等教育機関に在籍する外国人留学生は17万1千122人になりました。出身国・地域の上位は、中国、ベトナム、韓国、ネパール、台湾です。留学生全体の傾向として、中国、韓国からの学生が減り、ベトナム、ネパールといったアジア地域の学生が急増しています。(独立行政法人日本学生支援機構「平成28年度外国人留学生在籍状況調査」)

文部科学省は2020年までに外国人留学生を30万人に増やすという、いわゆる「留学生30万人計画」の目標達成を目指し、これまでに日本留学のための情報発信、入試・入国時の留学生受入の円滑化、大学キャンパスのグローバル化、留学中の住環境整備と生活支援など、来日する留学生に対して段階的に支援策を実施してきました。その計画の一環として、昨年6月2日の閣議決定において、卒業・修了する留学生の日本企業への就職と定着のための支援が決定し、「留学生就職促進プログラム」事業が打ち出されました。

現在、国内の高等教育機関に在籍する留学生のうち、卒業・修了後に日本に残る者は約70%、そのうち就職する者は30%程度です。(同上「平成27年度外国人留学生進路状況・学位授与状況調査」)文部科学省はこの国内就職者の比率を50%に引き上げることを目標にして、そのための留学生教育プログラムを全国の大学に募集しました。その構想で特徴的なのは、大学が地方自治体や経済団体などとコンソーシアムを構築し、産官学が共同して留学生(高度外国人材)を育成し、日本社会に送り出すという点です。三者が一体となり、さらに地域からの協力もいただき、「ビジネス日本語教育」「キャリア教育」「インターンシップ」という三つの柱からなる教育プログラムを企画・実施します。このプログラムの受講生は外国人留学生学習奨励費(給付型奨学金)特別枠の受給対象者となる他、プログラム修了生を採用した企業には法務省からビザ切替審査の簡素化という特典が予定されていたり、インターンシップ受入や採用の拡大には経済産業省も関わっているなど、国を挙げての期待度の高さがうかがえます。

こうした動きに対して、愛媛大学もこれまで「国際性豊かな人材を輩出する大学」「世界から人が集う大学」を目指し、世界の人々と協働できる人材育成や学術研究における国際ネットワークの構築などの“国際戦略”を積極的に進めてきました。現在、世界の35の国や地域と134の学術交流協定を結び、28の国と地域から308人の留学生(平成29年5月現在)を受け入れています。昨年、四国には1,613人、愛媛県には544人の留学生がいましたが、愛媛大学の留学生在籍数については、四国の大学では最多であり、今後も正規学生、短期交流学生のいずれの留学生も増加していく予定です。

 

2.これまでの留学生就職支援の実績と課題

愛媛大学では毎年約50人の卒業・修了する留学生がおり、平成19年度に経済産業省と文部科学省による高度実践留学生育成事業「アジア人財資金構想」に採択されたことをきっかけに、留学生を対象とした就職支援プログ ラム(「世界と協働できるグローバル人材育成プログラム」)を開始しました。この事業が終了した平成23年度からは大学独自の予算で継続し、翌平成24年度には「グローバル人材推進室」を設置し、留学生のための就職支援セミナーの開講や就職相談室の運営とともに、インターンシップの受入や留学生との意見交換会への出席などの協力をいただく「サポート協力企業」の増大も図ってきました。おかげさまで、このプログラムは10年にわたって継続し、プログラム受講生は100人を超え、そのうちの6割が日本企業に就職しました。これは「サポート協力企業」という強固な地元企業とのネットワークがあってこその成果です。“共に人材を育てる”という目標に共感してくださった155社(平成29年3月時点)にのぼるサポート協力企業・団体様には心より感謝申し上げます。

この「サポート協力企業」と並んでこれまでのプログラムを支えてきたのが、「留学生専門就職相談員」の教員たちです。大学・留学生と企業を繋ぐという重要な役割を担い、県内企業への聞き取り調査を実施し、外国人材に対するニーズを把握するための具体的なデータを集め、それを留学生への就職指導や授業に活用してきました。さらに、これらのデータを分析することにより、そこから愛媛の企業が抱える課題も見えてきました。海外進出を計画する企業が増えて即戦力となる人材が必要とされる中で、多くの小規模な企業にとって、外国人材を受け入れることは日本人社員への教育も必要になるなどの心理的・経済的負担が大きく、その採用に対して敷居が高いと感じられています。また、外国人社員の早期離職も常に問題となっており、その主な原因として、日本の企業内でのキャリア形成に対する本人と雇用者との考え方の違いや、日本人社員との円滑な人間関係が築けないために生じる孤立があることなどが明らかになっています。

 

3.新プログラムにおける問題解決のための特色ある取組

平成29年6月、愛媛大学は新たに文部科学省の「留学生就職促進プログラム」に採択されました。全国で12拠点、中四国では1件のみの採択です。期間は5カ年で、採択校には全国のモデル校となることが期待されており、本学も地方大学の強みを活かした特徴的な取組を実施します。

愛媛大学が実施する「愛媛の大学と企業が育てる高度外国人材育成プログラム」では、とくに企業が抱える外国人材活用に関する課題を解決するための取組を通じて、“愛媛地域における外国人材活用の促進”と“留学生の地元就職数の増大”を目指しています。

上述の愛媛の企業が抱える課題として挙げた、“外国人材採用に対する敷居の高さ”に対しては、プログラムの中で企業の社員と留学生が共に学び合うための相互参加の機会を増やし、企業の負担軽減を図ります。具体的には、社員と学生が一緒に取り組む「協働ワークショップ」や、採用企業による外国人材活用事例を紹介するフォーラムの開催などを計画しています。

また“外国人社員の早期離職”という課題に対しても、留学生が在学期間を通してステップアップ式のキャリア教育を受けることで、企業で即戦力となり、職場に長く定着できる人材となることを目指します。授業では、愛媛の文化や産業に関する知識の習得だけでなく、日本人学生や社員との協働学習とインターンシップを経験し、日本および日本人に対する理解を深めるとともに、日本の企業から求められる外国人材の役割を認識し、職場のグローバル化や会社の海外進出を牽引できる力を養います。

以上のような実践的な授業に加え、着実な日本語能力の向上のために自主学習教材やe-learningを活用し、「日本語能力試験」と「ビジネス日本語能力テスト」の高スコア獲得も目指していきます。

 

4.おわりに ~“オールえひめ”で取り組む、愛媛の外国人材育成構想~

今回新たなプログラムを開始するにあたり、すでに卒業生の愛媛県内への就職及び定住の促進に取り組んでいる「地域共創コンソーシアム会議」の下に、「留学生就職促進プログラム協議会」を新設し、これまでの推進室を「留学生就職促進プログラム推進室」に改組し、さらに国際交流・人材育成の各関係機関にも参加いただくことにより、“オールえひめ”の実施体制を構築しました。この“オールえひめ”体制は、コンソーシアムを形成する各機関と連携して、国内外から優秀な留学生を愛媛県へ呼び込み、入学から卒業まで一貫したキャリア教育と就職支援を行い、愛媛をはじめとする日本の企業へ送り出すという、愛媛県全体で取り組む外国人材育成構想の実現を目標にしています。また、県内11大学で構成する「大学コンソーシアムえひめ」を通じ、他大学への教材提供や公開授業も実施していきます。

本プログラムにより地域の産官学が一体となり、人材育成を通じて国内外の地域の活性化を図ることで、今後の国際交流の推進に寄与していくことと存じます。今後とも、皆様のご支援をお願い申し上げます。